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「日本は敗戦に依っては滅びない。政治の善悪に依って運命が決まる」憲政記念館 2 【7.8】

憲政記念館では、ミニ企画展として、戦後の斎藤隆夫の資料も数点展示されています(9月上旬まで)

その中で、昭和21年、日本の将来を案じた地元の中学生二人に宛てた手紙の文章に胸を打たれました。

これは、中学生の発行する雑誌への寄稿を頼まれて書いたもののようです。末尾に、書きなぐった中から適当に抜粋して使ってくれと書かれていました。また、「雑誌ができたら一部送られたし」とも。

このような内容でした。
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青年諸君に告ぐ

敗戦日本を清算し新日本を建設するには 先ず以って政治のやり方を改めねばならぬ。

此迄政治のやり方が間違っていたから、やるべからざる戦争をやって日本全国を挙げて今日の悲惨に落したのであるから、新日本の建設は政治の改革から始めねばならぬ。

之がために憲法を改正し、天皇の主権を(廃?)して此れを人民の掌中に収めた。
即ち建国以来の歴史と伝統と信仰の結晶である天皇主権が人民主権となったのであるから、此程の国体変革はないのであるが、此の国体変革をやらねば政治の改革と新日本の建設もできないというのが今日の国状であって、之が即ち民主主義の改革である。 

云ふまでもなく民主政治は人民の(?)に依って 人民のために 人民の行ふ政治を意味するのであるが、今日の日本国民に果して此の政治を行ふ能力があるかないかは 将来に残されたる大なる疑問である。

併し何としても此の政治を徹底せざるに由らざれば 日本は滅びるより外に途はない。

日本は敗戦に依っては滅びない。政治の善悪に依って運命が決まるのである。

(中略)

之がためには此迄の教育を根本から改めねばならぬことがある。

昨年8月15日  余が出石町の寓居に於て終戦の詔勅を知りたるときに 或る国民学校長が来て これからの教育は何ふしたならば可いかと問ふたから、
余は「君は直に学校に行き生徒を集めて謝罪したが可かろう。此迄君等が教へて居た事の多くは、虚偽と迷信である。此の虚偽迷信の教育が長年に渡って青年の心を誤らしめ、引いて今日の敗戦を惹起したのであるから、此迄の誤を懺悔して生徒一同に対し謝罪せられよ」と言ふたことがあるが、

今迄日本の教育中には虚偽迷信が充満し 之を本として封建思想や奴隷思想を養成して 此の思想を利用して支配階級が専制独裁の政治を行って来たのであるから、

之れからの教育は 一切の虚偽迷信を払拭して 何事も化学に基く真理の上に教育を施すでなければ 真の人間 真の国民は造れるものではない。


夫れゆえに これからは教育をする者も 教育をせらるる者も 深く○○に注意すべし。

殊に将来の新日本を肩に負ふて起たんとする青年は 一層時代に覚醒して 自主独立の気象を修得し、大手を振ふて自由の天地に堂々と前進すべきである。
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憲政記念館の庭には、日本国憲法施行50周年に記念植樹 された楷の木、60周年に記念植樹されたハンカチの木がありました。

施行70周年を迎えるとき、憲法は、そして日本はどうなっているでしょうか。それは、今、わたしたちがどうするかにかかっていると思います。

<M.I.>
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