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ひとりひとりが動くためのノウハウを集めたサイト 「りぼん・ぷろじぇくと2016」のブログです。

高校生がデモに行けなくなる日

またニュースからの話題です。

高校生のデモや集会、学校への届け出制認める 文科省
高校生のデモ参加などの政治活動をめぐり、文部科学省は29日、休日や放課後に校外での政治活動に参加する場合、事前に学校に届け出させることを認める見解を示した。
今後、届け出制を導入する学校が出てくる可能性がある。
http://www.asahi.com/articles/ASJ1Y55J0J1YUTIL03P.html
(2016年1月30日 朝日新聞デジタル)

ご存じのように、公職選挙法の一部改正により、選挙権年齢が18歳に引き下げられることとなりました。
有権者となる高校生にも、政治的自己決定能力が求められます。
文科省も、これまでは禁止または制限していた高校生の政治活動について見直しをすることにしました。 
しかしながら、高校生のデモ参加などの政治活動には、上の記事のようにさまざまな制約が残されたままです。
文科省は、学校内での政治活動を禁止する校則も「不当ではない」と容認しています。
さらに新たな制約として、「届出制」の導入を考える高校の姿勢も容認しています。
届出制を導入した高校では、生徒は学校に事前に届け出を出さないとデモなどに参加できないことになります。
その理由として「生徒の安全確保のため」「学業や生活に支障が出ないように」などをあげていますが、選挙権を持つ彼らの政治との関わり方を学校がコントロールするのは、行き過ぎた干渉(おせっかい)のように思えます。

生徒の政治活動をどのように指導するかは、いまのところ各校の判断に任せられているようですが、「届出が必要」と聞かされた高校生たちは、「めんどうくさいな」「先生に何か言われるかも」など無用な不安を感じないとも限りません。若者の投票率を上げようといいながら、彼らから政治参加という健全な社会への興味を奪ってしまうことにはならないでしょうか。
 
フランスでは、中高校生が数万人規模のデモを主催することは珍しいことではありません。
アメリカでは、自分の支持する政党の選挙ボランティアを行うという授業が組み込まれている学校もあります。
ドイツでは、支持政党を明らかにした上で政策について議論する授業をおこなっている学校もあります。
じつは日本でも、少しずつですが高校生が企画するデモが誕生したり、家族でデモや集会に参加する生徒もいます。
生徒はそういった経験を通して、思想や政治的信条を持つ権利が憲法で保障されていることを確認し、自分で学び、考え、主体的な意見を持って政治に積極的に関わっていきます。
 
教育の場が、選挙権は持つが、政治に関心を持ったり、話し合ったり、自分の意見を持ったり、行動したりすることには尻込みする有権者を育てる場となってしまうのであれば、この国の民主主義の危機に直結します。
この国の将来を担う10代に、もっとどんどん政治に関わってほしいと願わずにはいられません。
それが自由にできる間に。
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ご参考:
Q 「政治活動を構内では禁止する」という校則を定めることは可能か。
A 不当ではないと考えられる。

Q デモ参加の打ち合わせで休日に空き教室を使うことを許可することは適切か
A 打ち合わせには通常は政治活動に該当すると考えられ、学校管理規則に沿って判断。
Q 放課後や休日の学校外での政治活動を届け出制にできるか
A 学校で適切に判断。個人的な政治信条の是非を問わないようにする。
Q 生徒が公選法に違反していると考えられる場合、停学や退学としていいか
A 可能だが、基準をあらかじめ明確化することが必要。
Q 投票日当日に学校行事がある場合、投票を理由とした公欠は認められるか
A 認めることは基本的には考えられない。

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