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ひとりひとりが動くためのノウハウを集めたサイト 「りぼん・ぷろじぇくと2016」のブログです。

民間人の徴用【2016.1.31】

2016/1/29にこんなニュースがありました。

船員予備自衛官化 「事実上の徴用」海員組合が反発

民間船員を予備自衛官とし、有事の際に活用する防衛省の計画に対し、全国の船員で作る労組の全日本海員組合が29日、東京都内で記者会見し、「事実上の徴用で断じて許されない」とする声明を発表した。
防衛省は「強制はしない」としているが、現場の声を代弁する組合が「見えない圧力がかかる」と批判の声を上げた。
http://mainichi.jp/articles/20160130/k00/00m/040/091000c


国家が国民を徴集して一定期間兵役に就かせることを、一般に「徴兵」と言いますが、これに対して「徴用」とは、国家が国民を強制的に動員して兵役以外の一般業務に就かせることを指します。

現内閣では、昨年の安保法制の審議の際に「徴兵制の導入は無い」としていましたが、徴用に関しては特に言及していません。

りぼん・ぷろじぇくとが2004年に出版した絵本「戦争のつくりかた」の中には、こういったフレーズが出てきます。


現在、防衛省は有事の際に武器や自衛隊員を危険水域に運ぶ船や操縦者の不足を補うため、民間のフェリーを有事運行する仕組みを進めています。
そして、民間の船員21人を「予備自衛隊員」とする費用を予算案を盛り込むことにしています。
つまり、普段はフェリーの乗組員でありながら、有事の際には武器や自衛隊員を乗せて危険水域に赴く「自衛隊員」となるわけです。


防衛庁は「予備自衛官になるよう船員に強制することはない」としているそうですが、もし企業側が業務命令として制度の導入を決めた場合、これを無視することは実際には困難でしょう。それは半ば「徴用」ともいえるのかもしれません。


安保法制成立に伴い、自衛隊の活動範囲が大きく広がる一方で、最近では自衛官の人員不足が懸念されており、防衛省では様々な対策を進めています。例えば、自衛隊施設の建設工事を発注する際、災害など緊急時に自衛隊の応援要員となる予備自衛官を雇用している企業を優遇する落札方式を導入したり、予備自衛官を一定数増やした企業に対して法人税を減税する要望案を提示したりしています。今後、民間企業と防衛省の提携は益々活発化していくと思われます。
そうなると、民間企業で働く人たちの徴用は、もっと増加していく可能性があります。

ジャーナリストの吉田敏浩さんが2009年にアジアプレス・ネットワークで連載していた記事には、民間企業の社員が自衛隊装備のメンテナンスのためにインド洋などに派遣されていたことが指摘されています。また、防衛庁から企業に技術者の名簿やパスポート番号のリストの提出要請があったことや、不測の事態が起こった場合の対応や補償に関して「企業が契約して行なっていることであり、事故や事件に関しては一般的に企業内の労使関係で処理すべき問題」として、防衛省や自衛隊は責任を負わないと述べていること等が紹介されています。

《緊急特集》密かに拡大する民間人の「戦地派遣」【吉田敏浩】

企業で働く人にとって、会社からの業務命令は通常、特段の理由が無い限りは拒むことができないのが一般的です。異動や出向、研修など、その形は様々ですが、もしあなたやあなたの家族が、会社から「予備自衛隊員」になるように打診された場合、どうしますか?

そんなことを真剣に考えなければならない状況がもう目の前にあるのかもしれません。

(RY/会社員)



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